朝晩が急に冷え込むようになる11月。この時期、秋に増えた抜け毛が相変わらず続いていると感じている方や、最近はフケも気になっている、という方が少なくありません。
大気が乾燥する季節でもあり、頭皮の乾燥にはくれぐれも注意したいものです。
薄毛対策としては、湿度と気温の低下による乾燥や冷えなどによって起こる、抜け毛やフケには特に気を付けなければなりません。
なぜなら抜け毛もフケも、不潔な印象を人に与えるだけでなく、頭皮トラブルのサインでもあるからです。
そこで今回は、冬に起こる抜け毛やフケの原因と対策方法を紹介します。できることから改善して頭皮トラブルを未然に防いでいきましょう。
冬に抜け毛が多い原因
乾燥するこれからの時期は、大気中の湿度の低下によって頭皮環境が悪化して抜け毛が多くなります。そんな冬特有の要因から以下のようなことが起こってきます。
頭皮の乾燥
冬は湿度が低く、さらに室内での暖房の使用のために、春や夏よりずっと頭皮や髪が乾燥しています。
頭皮が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下して、皮膚炎のような炎症が生じることがあります。この炎症が、抜け毛だけでなく、かゆみやフケなど様々な髪トラブルを招くことになるのです。
また、髪の毛が乾燥すると髪のタンパク質の密度が下がり、切れ毛とともに抜け毛も増えることにつながります。
頭皮の血行不良
冬は気温も下がりますので、体温を下げないために頭皮の毛細血管も収縮して対応します。すると血流が悪くなって、必要な栄養素が頭皮に届きにくくなってしまいますので、頭皮の栄養不足によって抜け毛のリスクも高まります。
体温低下に伴う免疫力の低下
体温が下がるごとに免疫力も低下するといわれています。免疫力が弱まると頭皮では常在菌が繁殖し、頭皮環境の悪化につながります。
そのため、抜け毛や炎症によるフケ、かゆみなどが起こってきます。
首や肩、頭皮のコリ
寒さから体全体がこわばってしまい、背中から首、肩にかけて張っている僧帽筋という筋肉が固くなることで首や肩、頭皮が凝りやすくなります。
こうした凝りは頭皮の血行不良をさらに悪化させるため、抜け毛の原因と考えられます。
冬にフケが増える原因
冬になって突然増え出したフケには、他の季節とは違う次のような理由があります。
乾燥による頭皮のターンオーバーの乱れ
湿度が下がり空気が乾燥すると、皮膚の角質をくっつける細胞間物質を減少させます。そのため、角質がはがれやすくなりフケの増加につながります。
また、頭皮が乾燥しているため、つい爪を立ててかいて頭皮を傷つけてしまうと、バリア機能が弱まっている頭皮環境がさらに悪化して、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。
フケは頭皮の古い皮膚細胞がはがれ落ち、新しい皮膚細胞に変わることで起きます。
この生まれ変わるサイクルをターンオーバーといいますが、その周期が乱れ短縮されるとフケが増える恐れがあります。
血行不良によるバリア機能の低下
寒いと体温を維持するために血管が収縮し、血行不良が起こりやすくなります。頭皮の血管も例外ではありません。
頭皮への血流が悪いと、血液によって運ばれる栄養が行き渡らなくなるため、皮膚のバリア機能も低下してしまいます。それにより、例え小さな刺激でもターンオーバーが乱れてフケが出やすくなるのです。
乾燥による過剰な皮脂分泌
屋外の乾燥に加え、室内でも暖房使用により湿度が低下している環境では、頭皮の保湿機能が低下してしまいます。
そのため、乾燥した頭皮の水分不足を補おうと、今度は皮脂が多く分泌されます。
皮脂の過剰分泌によって、常在菌である黄色ブドウ球菌、マラセチア菌、アクネ菌などの繁殖が起こり、頭皮に炎症を起こしフケやかゆみの原因となります。
抜け毛やフケを放置してはいけない理由
頭皮も体の皮膚と同様に新陳代謝を繰り返しています。健康な頭皮だと約1か月で新しい頭皮に生まれ変わり、この時にはがれ落ちる角質がフケです。
しかし、新陳代謝のターンオーバーが先にお伝えした様々な要因で崩れると、目に見えるほどの大きさのフケが落ちるようになります。
抜け毛やかゆみを伴うのであれば、それは頭皮からのSOS。放置しておくと、薄毛が進む原因にもなるので、早めの対処が必要です。
乾燥からバリア機能が落ちた頭皮が傷つき、炎症を起こすと深刻な脱毛症を引き起こすこともありますので、注意しなければなりません。
抜け毛やフケがAGAに与える影響は?
AGAの発症は、男性ホルモンのジヒドロテストステロンが増えることによって起こります。このジヒドロテストステロンが発毛サイクルの成長期を短縮させることで、抜け毛が増え徐々に薄毛が進行していきます。
そしてまた、頭皮環境も重要な要素になります。抜け毛やフケが異常に出る場合は、頭皮の状態が悪化しているということですので、そのままにしていると増々薄毛が進行するリスクがあります。
冬に増えるフケの対策方法
この時期の乾燥や血行不良によって増えた抜け毛やフケは、どのように対策していけば良いのでしょうか。
重要なのは、頭皮の乾燥を防ぐことと、血行を良くすることの2点です。ここからは冬の環境から頭皮を守るためのおすすめの対策法をご紹介します。
ドライヤーの使い方を見直す
髪を洗った後は、タオルドライをしっかりしてからドライヤーを使いましょう。
またドライヤーの熱風が頭皮に近いと乾燥の原因になりますので、使う時は15センチ以上離し、同じ場所に長時間当てて一カ所に熱がたまらないようにしましょう。
同じ場所に当て続けると、乾きムラが起こるだけでなく頭皮を乾燥させますので、こまめに動かし、風が髪全体に行きわたるように乾かします。
高温のシャワーを避け、湯船に浸かる
寒いからといって洗髪の際に熱いお湯を使用すると、必要以上に皮脂が取り除かれて、頭皮の潤いが失われてしまいます。お湯は38~40℃くらいに設定して行いましょう。
さらにシャワーだけで入浴を済ませず、ゆっくり湯船に浸かって深部から温まり、血行を促進しましょう。頭皮の栄養不足を防ぐ効果が期待できます。
髪を洗い過ぎない
フケが気になるからといって、一日に何度も髪を洗うと頭皮にとって大切な皮脂まで溶け落ちてしまいます。
シャンプーは一日一回。洗う時は爪を立てず、指の腹を使い、軽くマッサージするように洗います。汚れがきれいに落ちきるように、すすぎは丁寧に行って下さい。
頭皮の保湿は必ずする
冬の乾燥シーズンには、保湿性の高いシャンプーや頭皮用ローション、ヘアオイルを使用することでうるおい効果が期待できます。
頭皮用ローションを選ぶ際には、保湿成分に加えて抗炎症成分が配合されている物を選ぶと、フケとかゆみの改善につながります。
また、ローションなどを付ける際には、指の腹で優しくもみながら馴染ませると、保湿とともに血行促進も期待できます。
加湿器で部屋の湿度を保つ
暖房によって室内が乾燥した場所で長時間過ごしていると、頭皮も乾燥してしまいます。
加湿器を使用して、部屋の湿度が50~60%になるようにしてみて下さい。
ただし60%以上になるとカビやダニの繁殖しやすくなるので、適切な湿度を保つように設定するようにします。
部屋の乾燥は、フケなどの頭皮トラブルだけでなく様々な不調の原因にもなりますので、暖房器具を使用する際は、必ず加湿器も合わせて使用するようにしましょう。
まとめ
今回はこの時期にフケや抜け毛が多くなる原因と、その対策法を紹介しました。
両方とも放置することで深刻な頭皮トラブルにつながってきますので、乾燥する冬に合った対策をして薄毛のリスクを減らしていきましょう。
いつもより抜け毛やフケが多いなと感じたら、速やかに普段の生活を見直して対策をとることが大切です。
もし、なかなか症状が改善しない、または悪化している、と感じる場合には別の理由が隠されているかもしれないため、専門クリニックなどへ相談することも検討してみましょう。