頭の地肌に触った時、凹凸ができていると、「病気かも?」と不安になることもあるかと思います。これからの季節は、汗や皮脂の分泌量が増えるため、頭皮にできものやニキビ、炎症、湿疹が生じやすく、こういった症状が起こりやすくなります。
頭皮の毛穴が盛り上がっていて、膿が溜まっているようだと抜け毛を増やし、髪の発育にも影響が出る恐れがあるため、特に脂漏性(しろうせい)皮膚炎などの頭皮トラブルには気をつけたい時期ですね。
そこで今回は、皮脂の毛穴詰まり、シャンプー剤の洗い残し、頭皮の凝りなど頭皮のボコボコの原因となる事柄に触れながら対処法を見ていきましょう。
頭皮が凸凹には病気が隠れている可能性も
頭に、できものができて、ボコボコしている状態は、ニキビやできもの、血行不良によるもののほかに、病気が原因で起きている場合があります。
考えられるものとして、脂漏性皮膚炎、乾癬(かんせん)、そして脂肪腫や悪性腫瘍です。どんな症状なのか一つずつ解説していきますので、ご自身に思い当たる状況があるか確認してみて下さい。
脂漏性皮膚炎とは
皮脂分泌が過剰になると、頭皮に存在するマラセチア菌というカビがそれをエサにして繁殖します。そこで起こる炎症を「脂漏性皮膚炎」といいます。
かゆみや炎症、湿疹が発症して、フケが多くなり、悪化するとかさぶたのようにフケの層ができて頭皮がボコボコしてしまうことも。
急にフケが多くなったり、大きいフケがこびりついたりする方や、眉毛や鼻の脇、唇の溝、こめかみや耳の裏に赤みが出たり、油っぽい細かい皮がこびりついたりする方も見受けられますが、実はこれらも脂漏性皮膚炎の代表的症状です。
軽症だと乾燥肌や単なるフケだと思って、医療機関を受診しない方も多いということですが、慢性的に繰り返すことが多く、自然に治ることは難しい病気です。
フケは脂漏性皮膚炎の初期症状ですので、最近フケが目立ってきた、頭皮がかゆいなどの場合は早めに医師の診察を受けましょう。
乾癬(かんせん)
疲労やストレス、睡眠不足などの生活習慣の乱れから免疫機能に異常が発生すると、皮膚のターンオーバーが活発になることがあります。
皮膚の層が積み重なって分厚くなることがあり、この病気は乾癬と呼ばれています。
発疹やかゆみが生じて、かさぶたで患部が盛り上がって皮膚が剥がれ落ちフケが出るのが特徴です。
頭皮にボコボコができ、赤みを帯びた範囲が広がっているなどが見られる場合は、皮膚科を訪ねてみることをおすすめします。
脂肪腫や悪性腫瘍
頭皮に腫瘍ができることもあります。頭皮に触れてみて、柔らかいしこりのようなものがあり、痛くないという場合は脂肪腫である可能性があります。
頭は普段から紫外線の影響を受けやすいため、日焼けによる色素沈着やしこりなどができたり、悪性腫瘍が発生したりするリスクがあります。異常を感じたら早めに病院を受診しましょう。
カビで発症? 脂漏性皮膚炎の原因とは?
ここからは、一般的にこの時期から増えてくる脂漏性皮膚炎について原因や対策をご紹介していきます。
脂漏性皮膚炎が起きる理由は、明確にはわかっていない部分もありますが、遺伝的、環境的、精神的ストレスなどの要因が関係していると考えられています。
発症は、皮膚に常在しているマラセチアというカビ(真菌)の一種によるといわれています。マラセチア菌は、皮脂腺から分泌される皮脂を栄養にして増えるため、これから梅雨から夏へと季節が移っていく中で皮脂量が多くなると、マラセチアも増殖します。
マラセチア菌が増えると薄毛のリスクが上がる?
皮脂は皮脂腺から分泌されますが、頭部や手の平、足の裏、耳の後ろなど、皮脂腺が多く集まっている場所を、脂漏部位といいます。
このような部位で皮脂の分泌が盛んになると、皮膚に常在しているマラセチアというカビ(真菌)の一種がそれをエサに増殖して、炎症を引き起こすと考えられています。
基本的に皮脂は、汗などの水分と混ざり合い、肌表面に皮脂膜を形成し、弱酸性の殺菌作用によって有害物質の侵入や感染防御に役立っています。
ただその皮脂が過剰に分泌し、マラセチア菌が繁殖して遊離脂肪酸に分解されると、この酸が頭皮に刺激を与え、それが脂漏性皮膚炎を引き起こすと考えられています。
また、増殖したマラセチア自体も炎症を起こさせ、抜け毛を増やし薄毛を進ませると言われているのです。
なぜマラセチアの増殖については、根本的な理由は分かっていませんが、高温多湿の環境による皮脂分泌の増加、洗髪で汚れが落ちていない、ストレス、寝不足、ホルモンの乱れ、ビタミンB2、B6などの代謝に異常が出たなどの要因が関わっているといわれています。
脂漏性皮膚炎はどうしたら治るのか?
この病気は、患部に炎症が起きている状態ですので、皮膚科や薄毛専門医療機関などでは、外用薬としてステロイドで炎症を抑える治療を行います。
症状によっては、カビの繁殖を抑える抗真菌薬を使うこともあります。
今から気をつけたい毎日の対策
まずは、正しい洗顔と洗髪を行うこと。皮脂の溜まりやすい部位は常に清潔に保つことが大切です。
シャンプーや石鹸を変えてみるのも良いでしょう。ミコナゾールなどの抗真菌薬の成分を含んだシャンプーが、皮脂の多い頭皮環境の改善に役立つことがあります
洗髪する際には、爪を立てたり、皮膚をごしごしこすったりせずに、しっかり泡立ててその泡で優しく洗うようにしましょう。
睡眠不足や過度なストレス、暴飲暴食や偏った食生活も、頭皮環境を悪化させます。栄養バランスの整った、規則正しい食生活を心がけましょう
ほかにもある! 頭皮のボコボコの原因と改善法
ご自身の頭皮を触ってみてボコボコした感触がある時には、他にも血行不良や、ニキビなどのできものが原因の場合があります。
血行不良の場合
頭皮の下には筋肉がほとんど存在しないので、血流やリンパの流れも滞りやすく凝りやすいといえます。
また老廃物をろ過する働きがあるリンパが滞ると、老廃物が頭皮に現れてボコボコしてくることもあります。そして毛根や毛細血管が圧迫されてさらに血流が悪くなり、頭皮に栄養が行き渡らなくなり、抜け毛につながることも。
椅子にすわった姿勢を続けることやスマホの見過ぎを避け、時には頭を前後左右に動かし、耳の下から鎖骨までを伸ばすなど、リンパ管が集中する部分をほぐしてあげると良いでしょう。
ニキビやできものの場合
頭皮のニキビやできものを改善するには、毎日の正しいケアが重要になります。基本は規則正しい生活をして、ストレスケアに努めるように。
睡眠不足は皮脂分泌が活発になるので、ニキビの発生につながります。十分な睡眠時間を確保して、仕事中も上手に休息を取り、外食を控えバランスよい食事でストレスを緩和させることを心掛けてみましょう。
ニキビやできものを改善するには、ターンオーバーを正常に整え、頭皮の再生を促し良い環境を保てるようにすることが大切です。
そのためには、正しいシャンプーの方法を身に付けること。
汚れを残さず、頭皮の乾燥や炎症が起きないようにするには、最初にぬるま湯で予洗いをして、泡立てたシャンプーを髪につけて指の腹で優しく頭皮を洗いましょう。
洗い方は、毛の流れに逆らうようにして洗い、しっかりすすぎ、低温のドライヤーで地肌までよく乾かすようにします。
ただ、洗いすぎは頭皮の乾燥やバリア機能の低下につながるので、汗ばむ季節でもシャンプーを使うのは、1日1回にとどめましょう。
まとめ
これからの季節に起こりがちな頭皮のボコボコの原因や、対策についてご紹介してきました。原因には皮脂汚れや血行不良のほか、紫外線を浴びたことなど様々あります。
皮脂分泌が過剰な場合や、赤みやかゆみがある場合には、頭皮環境の悪化が考えられ、放置すると脂漏性皮膚炎を起こし、抜け毛が増える可能性もあります。
そのため、頭皮の腫れ方がおかしい、激しいかゆみや痛みを伴う、赤く炎症していて治らないなど異常がある場合は、迷わずに医師の診断を受けることをおすすめします。
特に紫外線が強くなるこれからは、帽子の着用や保湿、マッサージを取り入れで頭皮をケアし環境的なストレスを避けることも意識してみて下さい。