10月から11月にかけて、薄毛がより顕著になるというケースが多く見られます。
これは夏に蓄積した紫外線ダメージで脱毛が起きるほかに、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが増えることも関係しているかもしれません。
秋になると気温や湿度の変動が大きく、ホルモンバランスが乱れやすくなります。そして
それが自律神経にも影響してストレスを感じたり、体の不調を訴えたりする方が増えるのですが、そのことが薄毛の原因となるジヒドロテストステロンの量を増やすことにつながるというわけです。
そこで、毎日の食事で摂る栄養素から、薄毛の原因となるジヒドロテストステロンを減らすものをお伝えしたいと思います。
どんな時に、ジヒドロテストステロン(DHT)は増える?
ジヒドロテストステロンそのものは体に欠かせないホルモンですが、一方で薄毛の原因になるともいわれています。
偏った食生活や睡眠不足、運動不足などの生活習慣の乱れや、ストレスや気温の寒暖差などによってホルモンバランスが乱れることも、DHTが増える原因になります。
例えば体を動かす習慣がない方、水分の摂取量が少ない方の場合、汗や尿からジヒドロテストステロンが排出されにくくなりますので、体内のDHT濃度が高い傾向にあるといえます。
また、喫煙によって男性ホルモンの量が増えると、ジヒドロテストステロンの分泌量を増加させることも分かっています。
注意したい自律神経の乱れ
季節の変わり目や、ストレスなどが原因で自律神経のバランスが崩れると、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が増加することが報告されています。
そして、その結果としてジヒドロテストステロンの量も増える可能性が高くなってしまうというのです。
なぜなら、ジヒドロテストステロンは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びついて生成されますので、テストステロンの量が多ければ、それだけ5αリダクターゼと結びつく確率も高くなるということなのです。
ジヒドロテストステロン(DHT)と薄毛の関係
髪には周期があり、成長期、退行期、休止期と移っていって成長が止まり、自然に抜けるようになっています。
DHTは、発毛の元になる毛母細胞へ栄養を送る毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に取り込まれると、毛母細胞の働きを低下させます。
そうして髪の成長サイクルに悪影響を及ぼすシグナルを出すことで成長期が短縮されてしまい、髪が早く抜け健康な髪も生えにくくなるのです。
食事でジヒドロテストステロン(DHT)を減らす方法
AGAの発症に関わるジヒドロテストステロンを減らすことで、抜け毛を防ぐ作用が期待できます。そしてそれには、5αリダクターゼを抑えることが重要になってきます。
それを踏まえて、DHTを抑えることにつながる栄養素や成分について解説していきます。
大豆類に含まれるイソフラボンの効果
ジヒドロテストステロンの抑制が期待できるものといえば、大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンは植物性エストロゲンとも呼ばれていて、体内で女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをします。
イソフラボンによって女性ホルモンが増えると、相対的に男性ホルモンが減って結果的にDHTが作られにくくなるというのです。
また、5αリダクターゼの働きを阻害する作用もあるため、テストステロンと結びつくのを防ぎ、薄毛の原因であるDHTが増えるのを抑えられるといわれます。
毎日、豆腐や納豆、厚揚げ、豆乳などの大豆製品のいずれかを意識的に摂りましょう。
牡蠣や牛肉、レバーなどに含まれる亜鉛の効果
亜鉛には5α-リダクターゼを阻害する作用があり、DHTの生成を減らすことが期待できます。AGAは、テストステロンが5α-リダクターゼと呼ばれる酵素と結びつきDHTへと変化し、抜け毛が増え進行します。
AGA予防のためにも、亜鉛が含まれる牡蠣や牛肉、レバー、しじみなどは意識して摂りましょう。
また亜鉛は髪を構成するケラチンを合成する働きもありますが、ストレスを受けると亜鉛が大量に消費されるので、日頃からできるだけ食べるようにしたい栄養素です。
味噌、キムチ、チーズなどの発酵食品の効果
キムチやチーズなどの発酵食品もDHTの抑制を期待でき、抜け毛を予防する効果が期待されています。
発酵食品には、アミノ酸の一種であるポリグルタミン酸が多く含まれています。
ポリグルタミン酸は旨味成分ですが、この成分が5α-リダクターゼの作用を抑制して、テストステロンがDHTへと変化するのを抑えるというのです。
ミカンの皮に含まれるd-リモネンの効果
d-リモネンにも、5αリダクターゼの抑制作用があるといわれています。ミカンの皮を細かく刻んで、料理やサラダやお菓子に使ってみましょう。
スダチにも含まれるので皮をすりおろし、風味付けにするのもおすすめです。
生活習慣からジヒドロテストステロン(DHT)を減らす方法
毎日の生活が乱れていると、ホルモンバランスが崩れてテストステロンの分泌量が増加し、結果的にDHTの量が増える可能性があります。
ホルモンバランスを整えるためにも、次のような点を意識してみましょう。
良質で十分な睡眠
睡眠不足を改善することで、ストレスを和らげられ、ホルモンバランスを整えることができます。適切な睡眠時間は個人差がありますが、7時間を目安にしましょう。
また、睡眠の質を高めるためには、寝る前のスマホチェックや激しい運動、熱い風呂につかるといったことも避けて下さい。
入浴は寝る2時間前までに、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることをおすすめします。また、寝る前には軽めのストレッチをし、血流を促すことで良質な睡眠へと導かれます。
有酸素運動で汗や尿から排出
DHTを減らすためには、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動をして排出を促すことも効果的です。
運動の際に適度な水分を摂ると筋肉などが伸縮し、古くなった水分が出やすくなります。
また軽めの運動は、ストレスを和らげてホルモンバランスを整える働きが期待できます。長く続けられそうな運動を選び、景色を楽しんだり音楽を聴いたりするとストレスを解消しやすくなります。
お酒やタバコを控える
アルコールは、肝臓で代謝されますが、その際に亜鉛が多量に消費されます。飲酒はできるだけ控えることが大切です。
意識的に亜鉛を摂ったとしても、毎日お酒を飲むという方はどうしてもDHT量が増える傾向になりがちです。
また、タバコを吸うとDHTは増えやすく、喫煙者は非喫煙者に比べて14%も多いという報告があります。禁煙ですることでジヒドロテストロンを抑制する効果が期待できるでしょう。
また、タバコに含まれるニコチンは、頭皮の毛細血管を収縮させ、髪の成長に必要な酸素や栄養が行き渡るのを妨げます。
喫煙習慣をやめることで、発毛や育毛をストップさせる要因を少なからず取り除けるはずです。
クリニックでの治療も考えてみる
これまでご紹介した生活習慣の改善や、食事、運動などによってDHTの抑制に努めることはできますが、やはり限界もあります。
素早くかつ確実にDHTの量を抑えて、AGAを防ぐことは難しいかもしれません。
その点、薄毛専門クリニックでは、5αリダクターゼII型を阻害する薬剤のプロペシアや、5αリダクターゼI型II型を阻害する薬剤のザガーロなどが処方されます。
抜け毛が気になる方や、AGAかもしれないとお悩みの方は、まずはクリニックを受診して相談してみましょう。
まとめ
秋は、食生活や生活習慣を見直すには良い季節です。
これまでファストフードや外食などで栄養バランスが偏った食生活を送っていた方は、これ以上薄毛の原因となるDHTの量を増やさないためにも、ご紹介した栄養素をバランスよく摂取するようにしましょう。
男性ホルモンを抑えることには薄毛改善効果を見込めるといわれますが、それとともに薄毛治療を始めてみたいとお考えの方は、専門機関にて医師による診察を受けてみることをおすすめします。