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職場の冷房で頭皮が超乾燥! そんな“オフィス砂漠”での薄毛対策とは?

 

一日中、エアコンが効いたオフィスで過ごしているのに、なぜか頭がムズムズかゆい…、しっかりシャンプーしているのにベタつく、このような頭皮の不調を経験している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
長引く猛暑の中、冷房は快適な室温を保ってくれる必要不可欠なものですが、一方で、頭皮と髪に深刻な「乾燥」をもたらす、いわば「オフィス砂漠」へと変えてしまっているともいえるのです。
そんな見過ごされがちな日常の環境が頭皮状態を蝕んで、抜け毛や薄毛のリスクを高める要因となることも! そこで今回は、なぜ職場の冷房が大敵なのか、その理由を解説し、すぐに実践できる具体的な対策をお伝えしていきます。

 

職場の冷房は髪にとって隠れたリスク?

心地よい空調を提供しているはずの冷房。しかし、その一方で髪と頭皮にとっては深刻な影響をもたらしているともいえます。それが、乾燥と血行不良です。
これら一つでも頭皮にとって良いといえませんが、二つ同時に起こると、さらなる負のスパイラルを生み出し、頭皮環境を急速に悪化させていきます。
長時間エアコンの効いたオフィスで過ごすことによって、どのようなリスクが生じているのか見ていきましょう。

 

想像以上に頭皮から水分を奪っている

冷房がもたらす最も分かりやすい影響は乾燥です。それは思っている以上に深刻です。
冷房(エアコン)は室内の温度を下げる過程で、空気中の水分を結露させて外に排出しており、それによって湿度が急激に低下してしまいます。
こういった低湿度の中に長時間身を置いていると、浸透圧の原理と同じ様に、水分のある方から少ない方へと移動することになり、皮膚や髪に含まれる水分は乾いた空気中へと蒸発しやすくなります。
さらにエアコンの冷風が直接頭皮や髪に当たると、皮膚表面の水分を強制的に気化させるため蒸発が加速します。つまり冷房環境は、湿度の低い空気と冷風というダブルで、頭皮や髪をどんどん乾燥させ続けているのです。

 

バリア機能の低下でトラブルを誘発

健康な頭皮は、皮脂膜という天然のバリアで覆われています。皮脂膜は皮脂と水分がバランスよく混ざり合ったもので、それにより外からの刺激や雑菌が侵入するのを防ぎ、頭皮の潤いを保っています。
それが極度の乾燥によって水分が奪われると、こういったバリア機能が弱まり、頭皮は無防備な状態となって、少しの刺激でも、かゆみや炎症、赤みを引き起こしやすくなります。
また、乾燥した頭皮は皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が乱れ、角質が剥がれ落ちパラパラしたフケが発生する原因となります。

 

深刻な血行不良という悪循環

冷房がもたらすもう一つの影響が、冷えによる血行不良です。これは頭皮の血管を収縮させ頭皮環境を内側から蝕む、より根本的な問題といえます。
人は温度変化に対して体温を一定に保とうとする機能を持っていて、冷房の効いた環境に長時間いると体の熱を逃がさないように、末端の血管を収縮させます。
特にデスクワークの方は活動量が少ないため生み出す熱も少なくなり、体の芯から冷える深部体温の低下が起こってきます。
冷えは、無数に張り巡らされた頭皮の毛細血管も収縮させて血流を悪化させ、血液を通じて運ばれてくる栄養素と酸素の供給が滞ってしまいます。
髪の毛は、毛根の深部にある毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長しますが、血行不良で毛母細胞が栄養不足、酸素不足となり、その働きが低下します。
髪が細く、ハリ・コシが低下、髪の生まれ変わりの周期においての成長期が短縮し、抜け毛が増え、目に見える薄毛へと進行していくのです。

 

気密性の高いオフィスで発生する化学物質の脅威

これまでお伝えした「乾燥」と「血行不良」に加えて、現代のオフィス環境には、頭皮の健康を損なう、さらなるリスクも存在しています。
それが揮発性有機化合物(VOCs)という化学物質です。この物質が冷房による乾燥や血行不良と組み合わさることで、頭皮トラブルをより複雑にしているといえます。
多くのオフィスビルは気密性が高く、空調システムによって空気が循環していますが、そういった空間では、建材や家具、カーペット、OA機器、さらには消臭スプレーやクリーニング剤などから放出される揮発性有機化合物が滞留しがちです。
研究によると、この物質がオフィスビルから屋外へ排出される量は、交通排出ガスに匹敵するといわれます。それが冷房の風で室内を循環し、皮膚や頭皮に付着して、炎症、かゆみ、皮脂分泌の増加、フケ、脱毛の原因となる可能性があることが報告されています。
冷房によって乾燥が進みバリア機能が弱まった頭皮は、これらの有機化合物の刺激も受けやすくなるため、トラブルが悪化する可能性があります。

 

夏のダメージは秋に現れる! 今からできるオフィスでの頭皮ケア習慣

一日の大半を過ごすオフィスでのケアが、秋以降の頭皮と髪の状態を左右します。
夏に受けた冷房による乾燥、血行不良といったダメージが抜け毛という形で現れるのが秋になるので、まず今の環境から頭皮を守ることから始めていきましょう。

 

エアコンの風が直接当たらないようにする

乾燥と冷えをできるだけ避けるために、エアコンの送風口の角度を天井や壁に向けたり、席の移動ができればそうしたりして物理的に対処しましょう。
また机に加湿器を置くこともおすすめです。オフィス全体の湿度を変えるのは難しくても、パーソナルスペースだけでも湿度40~60%に保つことを目指し、頭皮から水分が蒸発するのを抑えましょう。

 

こまめな水分補給で潤いを守る

体に水分を与えることは、頭皮や皮膚の潤いを保つために欠かせません。喉の渇きを感じる前に、水やお茶などを1時間にコップ1杯程度、定期的に摂るようにします。
髪のパサつきや頭皮の乾燥を防ぐために、すぐ使えるような保湿用ヘアミストや頭皮用ローションをデスクに備えておくことも良い方法です。水分を補給することで静電気を防ぐ効果も期待できます。

 

温活アイテムを常備する

ジャケットやひざ掛けなどを活用し、首、肩、足元を冷やさないようにしましょう。
体を冷やさないことは、頭皮の血行不良を防ぐために大切なことです。また冷たい飲料を控え、温かいお茶や白湯を飲むのも効果的です。
さらに休憩時間などは頭皮マッサージをしてみましょう。こめかみや生え際、後頭部などを指の腹で軽く揉みほぐすだけで、血行を促進し、頭皮の凝りを和らげて頭をすっきりさせる効果もあります。

 

頭皮環境を改善する帰宅後のケア

一日中、乾燥や化学物質、汚れなどにさらされた頭皮ダメージをリセットするためには、帰宅した後のケアが重要です。ここでは、頭皮環境を改善する基本的なケアをご紹介します。

 

乾燥防止と洗浄力をもったシャンプー剤を選ぶ

乾燥が気になる場合は、洗浄力がマイルドなアミノ酸系の洗浄成分を配合してある保湿系シャンプーがおすすめです。
さらに、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどの高い保湿成分が配合されているものを選ぶと、洗いながら潤いも与えることができます。

 

正しい洗い方を徹底見直し

保湿とともに付着した汚れもしっかり落とす洗髪を意識しましょう。
洗う際には、体温より少し高めの37~39℃のぬるま湯を使うこと。汚れを落としつつ潤いを守る最適な温度です。
シャンプー剤は直接頭皮につけず、良く泡立ててから髪全体になじませます。指の腹を使って頭皮全体を優しくマッサージするように洗えば血行促進にもつながります。
すすぎは、洗う時間の2倍を目安にします。 シャンプー剤やトリートメントが頭皮に残っていると、毛穴詰まり、かゆみ、炎症の原因になります。
生え際や襟足、耳の後ろなどが残りやすいので、意識して丁寧にすすぎましょう。
その後、 濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮トラブルの原因になるため、タオルドライで拭き取った後、ドライヤーで根元からしっかりと乾かします。

 

頭皮用保湿ローションを習慣に

お風呂上がりの清潔な頭皮は、水分が蒸発しやすくなっているため、早めの保湿を心掛けましょう。タオルドライ後、頭皮用の保湿ローションを塗布し、指の腹で優しくなじませた後、ドライヤーを使いましょう。
ドライヤー熱や睡眠中の摩擦、職場での乾燥から髪を守るために、洗い流さないトリートメントもおすすめです。
様々なタイプがありますが、オイルタイプは髪の表面を油分で覆って水分の蒸発を防ぎ、ミルクやクリームタイプは内部に潤いを浸透させます。毛先から髪全体に薄くなじませましょう。

 

夏の疲れを癒すストレスマネジメント

仕事のストレスは自律神経を乱し、血行を悪化させます。ヨガをしたり音楽を聴いたり、趣味の時間を持つなどして心身の緊張を解きほぐすことが頭皮の健康につながってきます。

 

質の良い睡眠の重要性

髪の成長を促す成長ホルモンは、眠っている間に主に分泌されます。特に入眠してからの3時間(ノンレム睡眠中)に最も多く分泌されるといわれています。
睡眠不足や質の悪い睡眠は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長サイクルを乱す原因となるため、7時間程度の質の良い睡眠に努めましょう。
寝る直前までスマホやテレビを観るのを止める、部屋の照明を落とすなど眠りに入りやすい環境を整える工夫を心がけましょう。

 

適度な運動習慣

デスクワークで滞りがちな血流を促進するために、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を習慣にしましょう。血行が良くなれば、頭皮に届く栄養素も自然と増えていきます。

 

腸内環境の改善

腸は栄養を吸収する重要な器官です。腸内環境が乱れていると、いくら栄養をバランスよく摂っても十分に吸収されません。発酵食品や食物繊維を積極的に摂り、腸内環境を整えることも抜け毛防止につながります。

 

まとめ

これまで、職場の冷房が頭皮に与える深刻な影響とその理由についてお伝えし、具体的な対策について解説してきました。
情報が多くて何をすれば良いか分からない、という方は毎日無理なくできる基本的なことから始めて、徐々に習慣化することを目指しましょう。
そして続けること。毎日の小さな積み重ねが、3ヶ月後、半年後の髪の健康を育んでいきます。冷房による過酷なオフィス砂漠に対処して、抜け毛の増える秋からの対策に役立ててみて下さい。